茜染め体験
手織り染色作家・野本久美さんの工房で
年に一度、染色体験をされているというので
定員超えのところ
無理を言い
茜染に入れていただきました。
野本先生は
明るくて竹を割ったようなお人柄。
ちっとも偉ぶらないのですが
20代後半から故森島千冴子先生、
数年前は人間国宝・志村ふくみ先生に師事し
40年以上、作品づくりに費やしてきたご経験を
たまに会話の中で
伝えてくださいます。
昨日もついついお湯の中で
布を泳がせる手が早いと
「もう少し優しくね~」と。
「布を優しく扱えば扱うほど
最後に染めの出来で
応えてくれるんよ。
不思議だけど
その布に対する扱いが
粗ければ
ちゃんと何かのしっぺ返しがくるんよね~。笑」
また、手織りの糸が虫喰いでやられていたというお話から
「一本一本喰われていたところを
結び直していくのは
本当に根気がいる作業。
永遠に続くのではないかと
嫌になることがありますが
終わりってちゃんと必ずくるんよね。
なんでも終わりがないなんてことは
無いと思えるのよ!」など。
一日がかりの染色に
へとへとにはなりますが
要所要所に
心に日が射しこみます。
先生は前日までに
茜の根っこの泥を落とし
刻んで準備してくださり
最後使い終わった根っこたちを
土に返す作業をこれからなさるという。
それをきっと苦とはとらえず
こなされている先生のお姿に
人のためというよりも
何かご自身の役割としてとらえ
淡々粛々とこなされている
手仕事の深い真髄を
垣間見たような気持ちになりました。
できあがりの茜色に
それ以上の温かみと
重ねられた重みを感じつつ
帰路につきました。
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