十一面観音に会いに
無類の虎ファンである父を
車で甲子園に連れてくるのは
夏の恒例行事ですが
運転大好きな母が
ハンドルをあまり持たなくなったり
あちこち出歩くのが好きな父が
ある程度動くと
すぐにホテルに帰りたがったり…
二人の意見の
行き違いも増え
ケンカの仲裁も
なかなか通じない現実です。
子育て中は
子供の成長に
ハッとさせれられることが多かったですが
今は両親の老いのスピードを感じ
キュンと何かが締め付けられ
もがきかける自分を
押さえながらも
こうして今年も
関西に来られたことに感謝し
心静かに時を過ごしています。
昨日は
井上靖の小説「星と祭」に感激し
何度か琵琶湖湖畔の
十一面観音巡りをした母に
それはそれは美しい
向源寺の国宝の観音様を
私に是非見せたいと言われ
名神と北陸道を
片道二時間運転し
行って来ました。
平日で雨のせいか
この日の参拝者は私たちだけ。
過去
上皇さま、天皇陛下など
様々な高貴な方々のご来訪もあったという
観音様ですが
平安時代の特徴の秀麗さが際立った
本当にため息が出る
一本彫りの美しいお姿です。
素晴らしい観音堂にて
めちゃくちゃ間近で
拝観でき
鳥肌ものでした。
お寺の前で
ボランティアさんの説明を聴きながら
織田信長、浅井長政、豊臣秀吉など
戦国時代に
何度も戦場になったこの地に育った
湖北の村人たちの祈りと
命がけで守ってきた観音信仰に
人々の思いの重みと
大きな歴史のうねりを感じると同時に
その舞台となったこの地に
文学という糸で
手繰り寄せられた
ちっぽけな私たち家族三人が
立っている不思議さ。
大きな時間軸と
家族としての時間軸が
青々とした田畑の中で交錯し
悠久を感じた瞬間でした。
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